ホーロー鍋とは
硬くて丈夫な鉄と、美しく、 耐摩耗性・非吸着性に秀でたガラスの両方の性質を兼ね備えている、人気のホーロー鍋。
このページでは、ホーロー鍋の歴史やメリット・デメリット、メンテナンス方法をお伝えします。
鍋の種類について
鍋と一口に言ってもその種類は様々です。フッ素加工鍋、アルミ鍋、鉄鍋などをよく見かけるのではないでしょうか。その他にステンレス鍋、チタン鍋、銅鍋、土鍋、ガラス鍋、そしてホーロー鍋と沢山の種類がありますが、それぞれ特徴や素材が違います。
本体が主に金属製のものは一番目にするフッ素加工鍋(アルミやステンレスのベースにフッ素樹脂加工がされている)続いてアルミ鍋、鉄鍋、ステンレス鍋や銅鍋、チタン鍋等があります。本体が金属以外の鍋は、土鍋、ガラス鍋などがあり、金属製の鍋に比べると種類は少ないですが、土鍋などは多くのご家庭に一つはあるのではないのでしょうか。
ホーロー鍋は金属とガラスを組み合わせて作られており、鉄製の鍋をガラス質のホーロー(琺瑯)でコーティングしたものになります。
ホーロー(琺瑯)とは?
ホーロー(琺瑯)の語源と歴史。
ホーローは漢字では「琺瑯」と書きます。なかなか使う事が無く難しい漢字ですが、この言葉がどこから来たかと言えば、実は定説が無いのです。
最も有力なのが、琺瑯と言う言葉は七宝質と言う意味で、梵語で七宝質の事を払菻嵌(フーリンカン)と言い、それが次のように変わった
「払菻嵌(フーリンカン)→払菻(フーリン)→発藍(ハツラン)→仏郎嵌(フーロウカン)→法郎(ホーロー)→琺瑯(ホーロー)」
とされているのが有力です。
最も古いホーロー製品はエーゲ海のミコノス島の発掘品と言われ、紀元前1425年頃と推定されており、金の表面の凹みに青色ガラスのホーローが充填されていたそうです。その後、この技術が東はキプロス島、西はギリシャ本土と二手に分かれ、一方はヨーロッパ方面(ドイツ、フランスなど)、片方は中東を経てアジア方面に伝播し、中国、朝鮮半島を介して日本へ渡ってきたと言われています。
日本の工業製品では1866年(慶応2年)に伊勢桑名の広瀬与左衛門と言う方が鋳物の鉄琺瑯を始めたと言われています。
時代は明治に移り、鋳物製琺瑯鍋の製造、販売が始まり、間もなく琺瑯釉薬も製造、販売されるようになり、1881年(明治14)年には勧業博覧会(東京上野)に鉄鋳物琺瑯が出展され、多くの方々の注目を集め、このように鉄鋳物琺瑯から日本の琺瑯の歴史は始まりました。
その後一般向けの琺瑯製品は「瀬戸引き」と言う名称で販売されていましたが、明治の半ばから「瀬戸引き」から学術用語であった「琺瑯」の名称を採用して販売したことがきっかけで「琺瑯(ホーロー)」と言う名が広がっていきました。
初期の頃は粗悪品もあり、剥げやすいイメージがあったのですが、現在では衝撃に対する強度が増し、品質も進歩しました。いまでは鍋、浴槽、タンク、化学機器、燃焼機器、建材、医療器具など多くの分野で使われています。
ホーロー(琺瑯)について
ホーロー自体が指し示すものとしては金属に焼き付けたコーティング(うわぐすり)を指す場合と仕上がり製品(ホーロー製品)の両方を指すことがあって、はっきりさせる場合はホーローコーティング、ホーロー製品、ホーロー加工などと表現する必要があって、海外でも同様な表現がされています。
ホーロー全般
「金属の表面に無機ガラス質のうわぐすりを焼き付けたもの」です。
鋳物や鋼板の上にガラス層があり、下釉層と上釉層の二層で構成されています。下釉は金属との密着を目的としたガラスで、上釉は化学的性質、耐熱性や装飾性などの目的機能に合致した組成のガラスです。
また、製造の工程では、あらかじめこれらのガラスを別々に溶解したのち粉末(フリット)にし、金属表面に塗布した後、加熱再溶融してつくります。この時溶融したガラスと金属表面で反応が起こり、界面が凹凸状になることがガラス層と金属(鉄)を強固に密着できる理由です。
焼成温度は800~850℃、焼成時間は5~10分と陶磁器等に比べ、比較的低温で短時間でつくりだせる特徴をもっています。
ホーロー鍋のコーティング(うわぐすり)
無機ガラス質のうわぐすりとは、石灰、長石、粘土・珪石・硼砂・蛍石、金属酸化物などを混合して原料としてガラス(フリット)を作り、フリットに粘土や調整材などを混ぜ、粉砕して作られます。
このうわぐすり(ホーロー釉薬)を金属製品に塗布し、乾燥、焼成する工程を下釉、上釉、絵付けの順に行いホーロー製品ができます。
身近なものとしては、陶磁器に使用される釉薬と同じものが使用されています。
ホーローにつかわれる金属は焼成温度で溶けたり、急激にさびたり、 ガスを多量に発生したり、変形をおこしたりしないもので、溶接など加工性の良いものが選ばれます。 現在使用されている金属の大部分は鉄で、ほうろう用の鋼板や鋳物です。
ホーロー鍋の強み・メリット
こうして鉄とガラス。全く違う2つの素材を結合させることによってできたホーロー鍋は、それぞれの良い面が活かされています。
硬くて丈夫な鉄と、美しく、 耐食性・耐摩耗性・非吸着性に秀でたガラスの両方の性質を兼ね備えています。
ホーロー鍋の耐熱/保温性
金属のベースをガラス質でコーティングしているため、耐熱性が高く、保温性に優れています。熱の伝わり方が他の製品に比べ、ゆっくりなので食材の表面は強度を増し、煮崩れしにくくなりつつもふっくらと仕上げることができます。
ホーロー鍋の耐食/耐酸により錆びない鉄に
金属のベースがガラスで包まれていることにより、錆や腐食に強い素材です。特にユニロイの製品は全体がガラスでコーティングしてあり、一部の鉄鋳物製ホーロー鍋に比べ、使用後に金属ベースが露出した部分だけを錆防止のためにふき取るといったひと手間がありません。
また、コーティングしているガラス質は酸や塩分にも強く、におい移りしないため、においの強いものの保存(ぬか漬け・かす漬け・みそなども大丈夫)もできますし、色落ちの心配などもありません。
ホーロー鍋は、色合いを長く保てる利点が
ホーロー製品で古いものは紀元前に作られたツタンカーメン王の黄金マスクがありますが、永い年月が経っても色あせず、当時の美しいままです。
ガラス質に着色されているので、建物の外壁や看板など過酷な環境に使用されていても色合いと光沢の変化は少なく、長い間きれいな色合いが楽しめます。
ホーロー鍋の耐久/耐摩耗性
ベースの金属とコーティングのガラスを加熱再溶融して作っているので、溶融したガラス層と金属(鉄)は非常に強固に密着しています。
密着度・耐久性は極めて高くなっています。
その特性を活かしてホーロー鍋以外にも、浴槽や建材などもホーロー製品は作られています。
鋳物ホーロー鍋と鋼板ホーロー鍋
ホーロー鍋で使われるベースの金属鍋(鉄)は大きく分けて2種類のものがあり、一つは鋼板鍋、ともう一つは鋳物鍋(鋳鉄)があります。二つの製法の違いとして
鋼板鍋
もともとコイル状になっている鋼板を切断加工して鉄鍋に成型されます。鋼板を加工して作られているため、鋳物に比べ、形の自由度は無いのですが、その代わり鋳物に比べ製品を軽くすることができます。
鋳物鍋
加熱して溶かした金属を型に流し込み、冷えて固まった後に型から取り出して作られています。
溶けた金属を型に流しいれて形を作るため、鋼板に比べて手間がかからず、古くから金属製品の加工法として採用されてきています。
鋳物鍋は鋼板鍋に比べて熱がゆっくりと伝わり、じっくりと加熱していくことが可能です。また蓄熱性にも優れていて、焼く調理においては食材が硬くならず美味しさにつながり、他にも煮込み料理やスープなどの調理にも向いています。
その反面、鋼板鍋に比べて重量があり、日常づかいでは敬遠される一面もあります。
アウトドアで使われているダッチオーブンやスキレット鍋なども鋳物製のものが多く、いずれの製品も重量やメンテナンスの面で日常づかいで一歩踏みとどまってしまいがちです。
その鋳物ホーロー鍋の「重くて使いづらい」というデメリットを取り除き、「できるだけ軽量にして鋳物ホーロー鍋を日常使いしてほしい」との想いから開発されたのが、当社のUNILLOY(ユニロイ)です。「世界一軽い鋳物ホーロー鍋」の開発は、正直なところ並々ならぬ苦労と試行錯誤の連続でした。しかし、暮らしにフィットした理想的な軽さと、スマートさを持つ日本の鋳物ホーロー鍋は、ヨーロッパやアメリカなど世界中のプロフェッショナルの驚きと注目を集めることとなりました。この「世界一軽い鋳物ホーロー鍋 UNILLOY(ユニロイ)」を通じて、感動の料理体験を世界中の人々にお届けしたいと考えています。
ホーロー鍋の使い方やメンテンナンス方法
金属とガラスのいいところを併せ持ったホーロー鍋。芯材は金属で耐久性も高く、ガラスコーティングでおおわれているため焦げにくく汚れにくいと、一見かなり頑丈なようですが、適切な使い方をしないといくら頑丈なホーロー鍋でも傷がついたり破損してしまいます。
【使い方】
- 無水(素材の水分を利用した調理)で使用できる製品を除いて、無水調理は調理の仕方によっては空だきに繋がってしまいます。空だきをすると表面のホーローが欠けて、コーティングが剥がれてしまったり、火災の原因となってしまう危険性があります。こちらから提供するレシピもしくは、信頼できる適切なレシピに従って行う場合、無水調理も可能ですが、空だきに繋がらないよう十分に気をつけてお使いください。
- 強い衝撃を与えたり、落下させてしまうと、コーティングのガラス質がひび割れや破損してしまうので取り扱いには十分に注意してください。
- アルミ、ステンレス製の調理器具(お玉、へらなど)を使用した場合グレーの線がホーローにつく場合があります。
これはアルミ、ステンレスなどの金属がホーローより硬度が低い為に金属が削れてホーローに付着して起こる現象です。
調理器具(お玉、へらなど)は木製やシリコン製の調理器具を使うことをおすすめします。
【メンテナンス方法】
- 表面のガラス質を傷つけないよう金属製のタワシや、研磨剤は使用しないように注意してください。汚れを落とす際は中性洗剤とキズの付かないやわらかいスポンジで洗ってください。
- アルカリ性洗剤(食器洗浄機専用洗剤等)や塩素系漂白剤は、ホーローの表面のつやを損ない劣化を早めることもあります。
- ホーロー製の調理器具を洗った際はなるべく水分をふき取ってください、乾燥させることで錆や汚れの防止につながります。
適切な使い方とメンテナンスをすることでいつまでもきれいに使い続けることができます。
ユニロイではいつまでも末永く使っていただくためにホーローの欠けや、変色してしまった場合でも再ホーロー加工を実施しています。(有料)
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